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謝礼交際
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謝礼交際で知り合った彼女と入ったラブホには、なぜかピアノがあった。テーマパーク化したラブホそのものは珍しくはないが、グランドピアノは珍しいかも知れない。
すると彼女は「子供の頃は、神童と呼ばれていたんだよね」と、徐に鍵盤蓋を開けて愛おしそうに指を這わせた。
小学生の頃は県のピアノコンクールで賞を総なめ、チャイコフスキーの生まれ変わりと周りに持て囃されてから、既に20年。「今ではただのおばちゃん」と彼女は自嘲気味に語りながら、柔らかそうなピアノチェアに腰を下ろした。
ピアノが下手になったわけではなかった。しかし、小学・中学という玉石混交の世界から、高校・大学と厳選された世界に進み、上には上がいることを思い知らされる。神童と呼ばれたのは、ただ単に周りにピアノをやっている子供がおらず、人より先に音楽の世界に足を踏み入れていただけ。才能で弾けていたわけではない、経験で弾けているように思えていただけの話だった。小学校の卒業文集の将来の夢の欄に、ぬけぬけと「ピアニスト」と書いた自分が恥ずかしくて、庭に火をくべて燃やしてしまったのだそうだ。
そして、その焚火が家に燃え移り、彼女は家を失い、更に幼少から親しんでいたピアノも燃え尽きてしまった。大惨事ではあったが「これで神童は死んだ」と、これまでの人生がリセットされたことにどこか安堵する自分がいたと言う。
その後の人生は何もかもうまくいかず、一家は離散して、彼女もこうして謝礼交際で糊口を凌ぐ日々が続いているそうだ。
「余計なこと話しちゃった。冷めちゃった?ごめんね」と、彼女は懐かしむようにピアノの鍵盤をたたき始めた。そして、音の感触を確かめた後に一気に鍵盤に指を躍らせ始めた。これは僕でも知っている。チャイコフスキーのピアノ協奏曲だ。
謝礼交際で女を抱きにホテルに入って、僕はなぜピアノの演奏を聞いているのだろう?と思った。しかし、彼女は今、家と人生とピアノを失った10年間を埋めるがごとく、ピアノを演奏している。このまま気の済むままにピアノを弾いてもらって、今日はいつもより多めに謝礼を渡そうと思った。叶わなかったピアニストの夢がこの瞬間だけでも叶うように。
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