「あなたに穿たれた」、「死ぬまで埋まらない心の穴」と生きるのが、「あなたのいない未来」だという、どうしようもない私の現実を、唄ってくれてありがとう。

愛猫を撫でる夢を見た。夢でも愛猫は亡き存在だったが、生前の肉体を伴い私に会いに来てくれている、という内容だった。夢で私は、「いつまでこうして来てくれるんだろうね」と言っていた。そう言いつつも一緒に居られて幸せだった。

目が覚めた。現実は夢じゃなかった。

想起

天に攫われた愛猫のことを、思い返さない日は無い。しかし、頻度と強さは減衰してきた、ように思う。

母は言う。「思い出してしまうとつらいから」と。

そうして意図的に思い返さないようにしていれば、いよいよ記憶が薄れてしまうのではないか。もう既に「忘れられない」のではなくなってしまったからこそ、思い返すしかない思い出になっているというのに。

シュークリームを見ると、愛猫との記憶が強く蘇る。

急病に苛まれ朦朧とした様子の愛猫を見て、ブドウ糖をあげようと、買ってきたシュークリームのクリームをほんのわずか少しだけ――

普段なら喜んで舐めるそれも、あの時のあの子には苦しいだけだった。苦しませてしまった。

あの子が亡くなった日の昼、私は母と開封済のシュークリームを食べた。

何を思いながら食べていたかは、思い出せない。

大愚

どうしてあの子の生命を攫った世界がこのまま続いているんだろう。

何を思い何をしても、あの子にできることはもう何一つ無い。

傷付けたことに傷付くな。しなかったことを悔やむな。出来たはずだと万能感に浸るな。悼めることに安心するな。自責し自罰して済むと思うな。お前は全部お前のことしか考えていない。そこにお前しかいない。気持ち悪い。

獄中

私にとって暗い作品に触れることは、脚の痺れを誤魔化すために腕を強く抓るようなことだが、そうして鬱作品に浸かり己から逃避しても、逃避した己が重くのしかかり脚が痺れる。

この繰り返し。痺れたまま。

私からは逃げられない。

酒を飲んでも理性を手放せない。夢を見ていても自意識が煩い。

にもかかわらず、ふと「我に返る」ことがある。「私はこんな『私』でしかない」と、悄然とすることがある。これ以上どう正気になれと言うのか。

良い夢を見たい。

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